発表会の選曲どうしてる?
発表会の季節になると、毎年のように悩むのが「選曲」です。
生徒の性格や生活のリズム、今の練習ペースを考えると、どんな曲が合うのか本当に迷います。
テクニックを伸ばすための少し背伸びした曲にするか、
それとも、自信を持って仕上げられる曲を選ぶか——。
「この曲を弾かせたい」と思う気持ちもあれば、
「本人が弾きたい曲を大切にしてあげたい」という思いもあります。
でも、私がいちばん大切にしているのは、
「この曲を弾けてよかった」と思える経験をしてほしいということ。
発表会は、ただ完成度を見せる場ではありません。
むしろ「その子の今」を感じる時間です。
練習が思うように進まなかったり、途中でつまずいたりしても、
その過程の中にこそ成長があって、
「最後までやり切った」という実感が、自信につながります。
また、選曲には“音楽との距離の作り方”も関係していると思います。
日々の生活の中で、ピアノに向かえる時間は限られています。
ピアノの発表会という目標をもつことで、「自分の生活の中でどこで練習ができるだろう?」という考えるきっかけにもなります。
長くなくていいです。一日1分でも3分でもいいので、毎日続けることを目標に。
短い時間でも「弾けた」「今日はここまでできた」という小さな達成感が、
音楽を続ける力になるからです。
テクニック的には少し易しいけれど、その子の表現力や音色の魅力が引き出される曲。
あるいは、練習量が少なくても「心で弾ける曲」。
ピアノには色んな曲があります。
そういう選曲が、結果的にステージでの輝きにつながります。
選曲を通して感じるのは、ピアノは“人を映す鏡”のようだということ。
その子の性格や成長のペース、今の気持ちが、音に全部あらわれます。
だからこそ、「上手に弾くこと」だけではなく、
“音とどう向き合うか”を一緒に考えていきたい。
発表会が終わったあと、
生徒が「この曲、弾けてうれしかった」「またピアノ頑張りたい」と言ってくれたとき、
それが何よりのごほうびです。
大変なこともある。
それでも、逃げないで続けて舞台に向けて頑張った日々。
その積み重ねが、きっと一人ひとりの音楽人生を豊かにしてくれるはずだと思っています。
